アクチュアリー試験の受験資格

2016年度のアクチュアリー試験の受験申込が開始されたようです。
http://www.actuaries.jp/examin/info.html
この記事を読んでいる受験を予定されている方で、まだ申込みをされていない方は、急いで申込手続きを済ませましょう(締切ギリギリまで引き伸ばすインセンティブなんてありませんから)。
さて、こんなツイートを見かけました。


そうですか…。
このツイートだけ見ると、おそらくこの方は、大学2年以下ですでに公認会計士論文試験に合格されて、大学へ通いながらどこかの監査法人で働かれているのかな、と思料します。だとすると、相当優秀ですね。
日本アクチュアリー会の資格試験要領によると、受験資格は以下のように定められています。

①大学3年生以上の者(4年制大学において、休学期間を除き2年以上在学し、かつ62単位以上の単位を修得した者)
高等専門学校卒業者
③学士資格を有しない大学院生
④外国の大学を卒業した者、または、外国において上記①〜③に相当する学校教育における課程を修了した者
⑤生保数理、損保数理、年金数理等の日本アクチュアリー会資格試験の受験科目に関連する知識を必要とする、保険・年金などの業務に3年以上携わった者

要は、少なくとも大学2年相当は修めていることを要する、ということなのでしょう。
一方、同じ資格試験である公認会計士や司法試験(予備試験から受験する場合)の受験資格は定められておりません。
こう聞くと、「公認会計士や司法試験だって問わないんだから、学歴関係なくアクチュアリー試験だって受験資格をなくせばいいじゃん!」という人もいるかもしれません。
これは、資格と実務との関係性の違いによるものではないか、と考えています(個人的見解)。
公認会計士や司法資格の場合、まず資格ありきで実務をスタートするのが一般的です。そもそも知識を有していないと始まらない、ということでしょう。
アクチュアリーの場合は、保険会社ないし信託銀行に入社して、実務を積みながら資格を取得するのが一般的なキャリアです。公認会計士は「士業」という性質を帯びていますが、アクチュアリーは徒弟制度的な文化が昔からあるのも一因でしょう。正会員になるまで平均8年かかること(これは条件付き期待値であることに注意が必要)、また理論上学生正会員もありえますが、そのような人は聞いたことがない(いるかもしれないが、それでもほとんどいないだろう)ことからも、実務をしながら取得する性質のものである、ということがわかるかと思います。まあ、卵が先か鶏が先かみたいなギロンにもなりますが、現行の2次試験の所見問題はやはり実務経験がないとピンとこないですし、実務が先というのが現在の解釈なのでしょう。
海外だと大学のアクチュアリープログラムを履修すると一部科目が免除される、という制度もあるようですが、この辺はもう少し議論が必要でしょう。
最後に、個人的な見解を述べさせてもらうと、上記のようなこともありますし、2次試験はいわゆる「お勉強」だけではうまくいかない性質であることから、一定の受験資格を設けるのはあってもいいと思います。その一方で、1次試験のように基礎的な部分については、撤廃してもいいのではないか、とは思います。実務的には試験会場のキャパシティのバランスも考慮しなければならないので、なかなか難しいところではありますが(やはり最後は実務的に〆るw)。